補聴器を選ぶ

補聴器の選び方 種類や機能について

補聴器選びのポイント

最適な補聴器選びをおこなう際は、まず「自分には補聴器が必要なのか」、そして「補聴器にはどんな種類があるのか」、「どんな機能があるのか」を知る必要があります。また実際に購入するとなった時に、自分に合った補聴器の選び方や、どこで買うべきかといった注意するべきポイントを抑えておくことも重要でしょう。
その他、補聴器は長く使うものですので、「なるべく目立たないもの」や「扱いやすいもの」など、装用する上でストレスにならず、かつ積極的に身につけたくなるものを選ぶことも、あらかじめ念頭に入れておくことをおすすめします。

① 聴力測定を受ける

■自分の聴力を知る

音の高さによる聞こえの違い、語音をどれだけ正確に聞き取れるかがわかります。

標準純音聴力測定では、音の周波数ごとにどれくらいの聞こえがあるのか、また難聴であるならその種類(伝音難聴、感音難聴、混合難聴)を調査して、オージグラム(聴力図)と呼ばれる図で示します。一般的な聴力測定と言うと、これを指す場合が多いでしょう。
語音弁別測定は、言葉の聞き取りを調査する測定です。日常で使われる「あ」や「い」などの音を実際に様々な音量で聞いてみて、音の大きさごとに何%明瞭に聞こえるかを調べます。
 

 
横軸が音の高低(250~8000ヘルツ)、縦軸が聞こえのレベル(0~70デシベル)を表しています。
表内のグラフが上の位置にあるほど、聞こえが良いことを表しています。

■どのくらいの聴力から補聴器は必要か

聞こえに不自由さを感じたら使用を検討する時期です。

難聴と一口に言っても、その聞こえ方は様々。またその人の仕事やライフスタイルによっても、聞こえの困難さや日常のつらさは大きく違ってくるため、どの程度の難聴になったら補聴器が必要という、明確な線引は難しいものです。
 
ただ最近は、技術の進歩によって補聴器の性能も飛躍的にアップしたため、軽度の難聴の方にも大きなメリットを実感出来るようになりました。また、若い時期から難聴になって早い段階から補聴器を装用し始めた人の方が、そうでない人に比べ、より良い聞き取りが出来ているという調査報告もあります。
したがって目安としては、聞こえに不自由さを感じたら、補聴器の装用を検討してみることをおすすめします。
 
聴力測定を受ける

※難聴の程度と聴力と日常の能力のコメントはあくまでも目安です。

② 補聴器について知る

■補聴器のしくみ

聴力が低下した人や難聴の人の「聞こえ」を補うことが補聴器の基本的な役割です。補聴器は、「入って来た音を大きくして伝える」機能を持った機械ということがいえます。
このしくみを電池と一緒にあの小さな本体の中に詰め込んだのが補聴器なのです。
また補聴器は、単に入って来た音を大きくするということだけではなく、入って来た音を加工して聞きやすくするという機能も持っています。この機能によって、うるさいと感じる音を事前に抑えたり、不快に感じる音を出来る限り不快に感じないような音に変換することが可能なのです。

■補聴器のタイプ別の特徴

補聴器のタイプは、装着する場所によって分類するのが最も一般的な方法で、大きく分けて耳の中に付けるITEと、耳の後ろに装着するBTEの2種類が存在しています。

耳あな型
耳あな型
耳あな型
オーダーメイド 耳あな型
補足
耳掛け型
ワイヤレス・充電型
箱型
乾燥機
また補聴器には、タイプだけでなく、様々なデザインや色、性能のものが存在しています。
ひと昔前に比べて選べる幅が大きく広がりましたので、難聴の度合いだけでなく、見た目の美しさ、
ライフスタイルなどに応じてどんな補聴器にするか、楽しみながら選べるようになりました。

③ 補聴器を購入する

■ よいお店選びが、よい補聴器選び!

①耳鼻咽喉科から紹介してもらう

補聴器店を探すなら、まずは耳鼻咽喉科に難聴の原因を調べてもらうと同時に、良いお店がないか聞いてみましょう。

②実際に補聴器を使っている人から教えてもらう

補聴器は、症状に合わせたフィッティングが必要があったり、後々修理などのアフターケアをお願いすることもあ るため、お店の対応の良否は非常な重要なポイント。そのため実際に補聴器を買った人から、そのお店での対応が どうだったかといった情報を聞くことは、補聴器店を選ぶ際の大きなポイントとなります。

■ 片耳だけの補聴器は片目のメガネと一緒。両耳装用を推奨します

人間の耳は、左からの音情報は主に右脳に、右からの音情報は主に左脳に伝達され、左脳と右脳にバランスよく音情報が届くことで、優れた情報処理をおこないます。たとえば、多少騒がしくても、周囲の雑多な音の中から聞きたい声、音だけを識別出来たり、どこから聞こえてきたのか立体的に把握出来るのも、そんな脳の処理機能のひとつです。
片目だけで行動した時、距離感がつかめず歩きにくかったり、片方だけに負担がかかるため疲れやすくなってしまうのと同様、耳も片方だけで聞いていては、正しい聞こえにはなりにくいですし、疲れやすくなってしまいます。
そのため補聴器を装用される場合は、両耳に付けてバランスよく聞くことが大切です。

両耳装用の場面別満足度効果の比較

■ 使う人に合わせて補聴器の特性を調整することが必要です

難聴の症状は、人によって様々。聞こえてくる音量が違うだけでなく、音域ごとに聞こえたり聞こえなかったりする場合もあるため、個人の聞こえに合わせて、補聴器がどの音を増幅し、またどの音を抑えるか調整する必要があるのです。
補聴器メーカーが提供している自動フィッティングソフトを使用することで、ある程度は自動化出来るものの、やはり細かな部分は人の手で調整するしかありません。また快適な聞こえを実現するためには、実際に補聴器を使ってみた感想を元に、ライフスタイルや聞こえの好みに合わせたフィッティングも重要となってきます。場合によっては、一度の調整では済まずに、何度か補聴器店に通って、フィッティングをしてもらわなければならない場合もありますが、そうして調整した分、快適な聞こえに近づいていきます。
補聴器の性能を最大限に活用するためにも、補聴器を購入した際は、ぜひしっかりとフィッティングをおこなう必要があることを覚えておきましょう。